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「白いウソ- 牛乳の真実」 原題“White Lies” 2

「白いウソー 牛乳の真実」  原題“White Lies” 2 


カルシウム


牛乳のカルシウム含量(100 mlあたり120 mg)は、人間の母乳(100 mlあたり34 mg)の4倍近くあります。この不一致にはちゃんとした理由があります。仔牛は人間の赤ちゃんよりもずっと速く成長し、骨格もずっと大きいですから、より多くのカルシウムを必要とします(FAO, 1997)。牛乳はこの高度な要求に応えるように特別な配合になっています。「米国小児科学会方針宣言」中の乳児、児童、青少年のカルシウムの必要量によれば、最新のデータの示すところでは母乳のカルシウムの生物学的利用率は粉ミルクや牛乳を上回っています(Baker et al., 1999)。つまり、母乳は牛乳よりもカルシウムが少ないのですが、母乳のカルシウムは牛乳のカルシウムよりも乳児の体への吸収率が高いのです。これもまた、生まれてきた赤ちゃんの最初の一年間になぜ母乳が最高の栄養源であるかの例証の一つです。


 


鉄分


牛乳は非常にわずかな鉄分しか含みません(FSA, 2002)。このこともまた牛乳が1歳未満の乳児にはどうしても適さないもう一つの理由です。実際、新生児が鉄分5.3ミリグラムという必要栄養摂取量を牛乳で満たそうとするならば、その赤ちゃんは一日に牛乳を17リットル以上飲まなければなりません。さらに加えて、牛乳はビタミンCとビタミンDも少なく(Department of Health, 1994)、ビタミンAもまた母乳より下回っています。牛乳中のタンパク質、塩分、カリウム、リン、塩化物のレベルはいずれも高く、いわゆる高腎溶質負荷をひき起こします。これは食事から摂取しても体内に吸収されない溶質が腎臓を経由して排泄される際のトラブルです。これは新生児のまだ未成熟な腎臓を傷めます。具体的には、有害物を水分で薄めて排泄させなければならないために体内の水分を集めようとして、脱水症のリスクを高めます。牛乳で授乳された乳児の腎溶質負荷の発生率は粉ミルク授乳の乳児の2倍であることが明らかになっています(Martinez et al., 1985)。


  


 



 


牛乳タンパク質へのアレルギー反応は、乳児によく見られます。アレルギー反応としての牛乳起因性の消化管出血は、乳児期の直腸出血のよく知られた原因です(Willetts et al., 1999)。この血液損失は乳児の体内の鉄分栄養状態に影響を与え、多くの場合貧血症をひき起こすことがあります。鉄分の非常に低い牛乳の摂取ばかり続けていて鉄分の豊富な食物の摂取が締め出されていると、こうした症状がさらに悪化します(アレルギー-消化管出血、18 ページを参照)。


乳児期に市販の“普通の”牛乳を摂取させることに起因する健康問題は豊富な資料によって立証されています。その結果、乳児の親と保護者に対して、生後9カ月を過ぎるまで牛乳の導入を延期するようにという勧告が多数の国々で積極的にされています。英国 (保健省、1994年)、米国 (1992年米国小児科アカデミー)、デンマーク (国民健康委員会、デンマーク、1998 年) カナダ (カナダ小児科学会, 1998年)、スウェーデン (Axelsson et al., 1999年)、ニュージーランド (Soh et al. 2004)。


 


牛乳の組成


牛乳の組成は乳牛の品種の相違と牛乳分泌のサイクル段階の相違によって大幅に変化することがあります。乳牛は出産後の最初の数日間、脂肪およびタンパク質が豊富な初乳と呼ばれる特別なタイプのミルクを分泌します。初乳には幼い哺乳類の免疫システムを強化する、感染症と戦う重要な抗体も含まれています。生後数日以内に初乳から真牛乳への移行が起こります。


 


水分


動物によって分泌されるすべてのミルクには、炭水化物、タンパク質、脂肪、ミネラル、ビタミンが含まれていますが、主成分は水です。水によって母牛の体内からミルクが希釈されて分泌できるようになります。水なしではミルクは搾乳できないでしょう。さらに、牛乳中の水分は新生児の水分補給にも欠かせません。牛乳には人間の母乳と同じくらいの量の水分が含まれていて、約87パーセントです。


 


炭水化物


哺乳類のミルクの主要な炭水化物は、乳糖と呼ばれる二糖類(糖)です。乳糖が消化されるためには腸内でラクターゼという酵素によってその構成物の単糖類ブドウ糖とガラクトースに分解されます。グルコースは幼体にエネルギーを供給します。多くの人々は牛乳や乳製品を消化できません。それは乳離れのあとでは乳糖を消化できないからです。ほとんどの乳児はラクターゼという酵素を備えていて、それによって乳糖を消化できます。しかし、この能力は多くの人々の場合、乳離れ後に失われます(ふつう2歳後)。地球上で乳糖不耐はごく普通に見られ、アジア人の約90-100パーセント、アフリカ人の65-70パーセント、しかし、白人ではわずか10パーセントです(Robbins, 2001)。つまり、世界の人口の大半は乳離れ後にはミルクを消化できないのです。


 


タンパク質


タンパク質は、エネルギーを提供し、皮膚や筋肉などの組織の成長と修復に必要です。カゼインは、牛乳タンパク質の主要グループで、総タンパク量のおよそ80%を形成しています。残りの部分は、乳清タンパク質から成っています。カゼイン・ミセルとして知られている構造を作るために結合する4種類のカゼイン( アルファ、ベータ、ガンマ、カッパ・カゼイン )があります。カゼインのミセル構造はチーズの製造に重要です。また牛乳アレルギー(アレルギー、16 ページを参照)で重要な役割を果たしています。


 


 


脂肪


牛乳の主要な脂肪はトリグリセロール(1分子のグリセロールの3つの脂肪酸エステル)と呼ばれる脂質の複雑な組み合わせです。牛乳中の炭素原子鎖長4炭素原子から26に至るまで400種以上の脂肪酸があります(National Dairy Council, US, 2005)。脂肪酸は、分子中の炭素鎖の中の水素の量に応じて飽和または不飽和として記述されています。ミルク一般には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のどちらも含まれています。不飽和脂肪酸は、脂肪酸の分子の炭素鎖の二重結合の数に応じて、一多価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸とにさらに分類されます。ミルク一般には両方のグループからの脂肪酸が含まれていますが、牛の全乳(約65%)の脂肪のほとんどは、飽和型脂肪です。


 


脂肪多価不飽和脂肪酸(これらの名前は脂肪酸分子の炭素鎖の二重結合の位置を指しています)には、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸と呼ばれる脂肪酸が含まれます。ミルク一般にはオメガ6 必須脂肪酸リノール酸、オメガ3脂肪酸リノレン酸が含まれています。これらは、食事から摂取する必要がありますので、これらは健康に不可欠ですが、体内では生成できませんので必須脂肪酸と呼ばれます。ミルク一般にはリノール酸およびリノレン酸 (どちらも18の炭素原子の鎖を持つ) が含まれていますが、その含有は比較的低レベルです。


 


最近、牛乳中のいわゆる共役リノール酸 (CLAs)について研究者の間で大きな昂揚が見られます。す。'共役' とは分子の分子配列を指します。CLAs は、リノール酸の位置的、幾何学的な異性体として記述されます。これの意味するところは、CLAs は通常のリノール酸とまったく同じ構成要素から成っていて、ただ配列が異なるだけということです。ある特定の配置におけるCLAs(cis 9, トランス-11 CLA)は人間にとっての一連の潜在的な健康上の恩恵を有すると考えられています(McGuire and McGuire, 2000)。しかし、減量、癌、心血管疾患、インスリン感受性と糖尿病と免疫機能に関する研究の大半は実験動物を用いて行われており、CLAsに対する反応は実験動物間で偏差が存在することが確認されています。人間対象の17の研究についての最近の点検の結果、CLA は体重や体組成には影響せず、免疫機能に対する影響も限定的なものであるという結論が得られました(Tricon et al., 2005)。


 


さらに CLA のいくつかの有害影響がマウスで観察されており、いくつかの報告書ではCLAsが潜在的発がん性影響を誘発する可能性があることが示唆されています(Wahle et al., 2004)。もっと多くを知るまでは、人間に対するCLAのサプリメントの投与に対しては慎重に考慮すべきであるという研究者からの警告があります。にもかかわらず、牛乳業界はこの分子を新しいマーケティングの契機とみており、乳牛の飼料を操作してCLA添加の牛乳を生産する研究がすでに着手されています(Lock and Garnsworthy, 2002)。


上述の脂肪酸に加えて、ミルクには脂溶性ビタミンを含有する少量のリン脂質と他の脂肪があります。


 


ミネラルとビタミン


牛乳中に確認されているミネラルとしては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、塩化物、亜鉛、鉄(ただし極めて微量)、セレニウム、ヨウ素、痕跡量の銅とマンガン(FSA, 2002) があります。牛乳中のビタミンには、レチノール、カロチン、ビタミンE、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC、そして痕跡量のビタミンD (FSA、2002年)が含まれます。米国では、牛乳は添加によってビタミンDが強化されています。この添加は後で見ることになる重要な意味を持ちます (参照:骨粗しょう症、57 ページ) 。


 


牛乳にはこれらすべての栄養素が含まれていますが、これらのビタミンの含有レベルが非常に低いことに注意することが重要です。さらに、牛乳のミネラル成分は人間の生化学的条件に照らしてあまりにもバランスを欠いているので、それらから健康のための最適な必要量を吸収することは困難です。


 


繊維


一般的にミルクには食物繊維が含まれていません。


 


牛乳と乳製品がもつ望ましくない成分


全乳、チーズ、バターおよび多くの他の乳製品には飽和脂肪、コレステロール、動物性タンパク質が高いレベルで含まれており、これらはすべて私たちの食事には必要のないものであって、一連のさまざまな病気、疾患との関連が指摘されてきているものです。たとえば、食事中の過剰な飽和脂肪とコレステロールは心臓病と脳卒中のリスク増加に関連づけられています。比較文化的調査によれば、飽和脂肪、コレステロール、動物性脂肪の消費があちらこちらの国々で増加すると、それにつれてどの国でもいわゆる贅沢病と呼ばれる肥満、心臓病、糖尿病、骨粗しょう症、ある種のがんの発生率も増加します。この現象は人種間の遺伝的相違が原因であると、かつて指摘されたことがあります。しかし、人々がそういった贅沢病の発生率の低い地域から発生率の高い地域に移住すると、その人たちはたちまち移住先の人々と同じ高い発生率になります。


 


この相関関係の原因の少なくとも一部は食事やライフスタイルといった環境要因に求められなければなりません。そうすると、あなたの食事やライフスタイルを変えることによって疾患のリスクを増加させることができるのであれば、逆にあなたの食事やライフスタイルを変えることによって疾患のリスクを減少させることができるという理屈になります。世界保健機構(WHO)の主張によれば、果物と野菜だけでなく、ナッツや未精製の穀物をもっと多く食べること、そして動物性飽和脂肪から不飽和植物性油ベースの脂肪に移行することには健康上の大きな恩恵があります(WHO, 2006c)。


 


飽和脂肪、コレステロール、動物タンパク質に加えて、牛乳と乳製品には広範な望ましくない構成要素が発生します。現代酪農の乳牛はストレスと疾患の両方にさらされています。英国では、牛たちは牛ブルセラ病、牛結核、口蹄疫、ウイルス性肺炎、ヨーネ病といった一連の感染症に苦しみます。感染症の結果として、広範な種類の汚染物質が牛乳に発生することがあります。乳房炎(乳房腺の炎症)は英国において乳牛たちの間に蔓延している境遇で、乳房全体か一部が乳頭を介して侵入する細菌によって引き起こされる感染症です(MDC, 2004)。乳房炎は症状が出るか出ないかで潜在的か臨床的と呼ばれますが、症状としては、腫れ、痛み、しこり、牛乳凝固または変色牛乳があります。これに対して牛は白血球細胞(体細胞)の生成によって反応しますが、この白血球細胞が感染症と戦うために患部に向けて動員されます。これらの白血球細胞は、細胞破壊片や壊死組織とともに膿の構成要素であり、牛乳中に一緒に排泄されます。


 


牛乳中の体細胞数(体細胞数計測)によって、存在する感染症のレベルが確認できます。体細胞数計測は通常、酪農業者への支払い制度の一部に組み込まれています。この制度には体細胞濃度が規定の限界値を超えるかどうかで奨励金か懲課金になるという資格審査があります(Berry et al., 2003)。欧州連合で体細胞制限は牛乳タンク内の1ミリリットルあたり最大400,000 細胞カウントです(Dairy Products (Hygiene) Regulations, 1995)。ということは、1リットルあたり4億(400,000,000)個の膿細胞が、人間の消費用に合法的に販売できるということを意味します。そうすると、ティースプーン1杯の牛乳には200万の膿細胞が含まれている可能性があります!事態はもっと悪い可能性があります。というのは、体細胞計測技術の有効性にも懸念が高まっているからです(Berry et al., 2003)。


 


乳房炎はさまざまなかたちで牛乳の品質に影響を及ぼします。総タンパク量の減少、カルシウム、リン、カリウムの含有量が減少して、味の劣化(苦くなる)し、および望ましくない構成要素のレベルが上昇します。この望ましくない構成要素には、プラスミンとリパーゼのような分解酵素、免疫グロブリン、微生物が含まれます(Blowey and Edmondson, 2000)。乳房炎は、乳房に直接注射される抗生物質で治療されます。この抗生物質は牛乳に残留する可能性がありますので、勧告されている差し止め期間が経過するまでは、治療中に搾乳された牛乳は出荷してはならないことになっています(MDC,2004)。乳房炎は英国の乳牛のおよそ50%で発生します(Blowey and Edmondson, 2000)。


 


ミルク一般は、酵素、ホルモン、成長因子を含む多くの生物活性分子を含んでいます。1992 年に、ペンシルバニア州立大学の内分泌科医クラーク・グロブナーは、グラス1杯のアメリカの典型的な牛乳の中の既知の生物活性のホルモンと成長因子の数種についての大規模な調査を発表しました。そのリストには、脳下垂体ホルモン7種、ステロイドホルモン7種、視床下部7種、消化ペプチド8種、甲状腺ホルモンおよび上皮小体ホルモン6種、成長ホルモン11種、その他の生物活性化合物9種が並びます。牛乳中の他の生物学的に重要なタンパク質やペプチドとしては、免疫グロブリン、アレルゲン、酵素、カソモルフィン(カゼイン由来のペプチド)、環状ヌクレオチド(信号分子)などがあります。ここでの懸念は、仔牛の成牛への急速な成長を指示するように進化してきた信号分子が、人体内でがんのような病気や疾患につながる不適切な生化学的経路を切り開く可能性がある点です。


 


哺乳類によって生成されるすべてのミルクは、数百もの異なる化学的メッセンジャーを輸送するため媒体です。ミルクは母親の乳腺上皮から幼児の消化器系へと活発に伝達をし、乳児の体内の免疫系、代謝系、細菌叢システムに指示を与え、教育を施します(German et al., 1992)。


 


確かに、研究の示すところによれば、これらの分子の多くは乳児の腸内の環境でも活性を失わず、吸収されて循環器系をめぐり乳児の免疫系、消化器系、神経内分泌系などに影響を及ぼす可能性があります。どこか他の効果を取る循環に吸収されていく。これは、同じ動物種の母子間の有益なメカニズムとして進化してきたものですが、1つの種から採取されたミルクの中の生物的活性分子が別の動物種によって消費された場合の影響に関してはわからないことだらけです。懸念としては、牛乳中の生物的活性分子が人間の乳児において、望ましくない調整、成長、さまざまな組織の分化を方向づける可能性があります。


とりわけ憂慮されるのは、たとえば、インシュリン様成長因子(IGF-1)です。これはミルク一般に自然に発生するものですが、いくつかの人間のがんとの結びつきが指摘されています(see IGF-1, page 49)。


 


 


母乳がいちばん


世界保健機構(WHO)は世界的な公衆衛生勧告として、乳児は生後6ヶ月間専ら母乳によって授乳されるべきであると明言しています(WHO, 2001)。同勧告は、一般的に言って、これが新生児にとって最も健康的な人生のスタートであると結論しています。新生児たちが母乳の入った哺乳ビンと粉ミルクの哺乳ビンの両方を出されると母乳のほうを選ぶ(頭を回し、しゃぶりつく)という実験があることは興味深いことです。これは個々の新生児のそれまでの授乳がどちらであったかにかかわらずです(Marlier and Schaal, 2005)。


 


母乳が重要な理由は多くあります。赤ちゃんは母乳で授乳される人生で最初の数日間で自分の免疫系への重要な追加免疫を受けます。この際に母親から重要な抗体が新生児へと初乳(普通の母乳の前に分泌される液体)を通じて届けられます。これらの抗体が赤ちゃんを感染症から守ります。


母乳で育った赤ちゃんのほうが胃腸炎、呼吸器、耳の感染症、そして小児になってからアトピー性皮膚炎、喘息を含む多くの重い病気に苦しむことが少ないです。赤ちゃんのときに母乳で育った大人ほど肥満、高血圧、高コレステロールといったリスク因子を抱えることが少ない傾向があります(UNICEF, 2005)。これは最近エストニアとデンマークにおける2千人を超える子供の調査によっても裏付けられました。母乳で育った子供はそうでない子供より血圧が低く、母乳での授乳期間が長かったほどその差も大きいという結果が出ました(Lawlor et al., 2005)。こうした調査のもつ意味は、母乳での授乳は大人になってからの心臓病のリスクを減らすのに一役買っているという点です。


 


さらに言えば、母乳は無料です!無数のボトルを洗浄し、殺菌する必要もありません。夜中に起きて粉ミルクを計ってお湯に溶き、熱すぎないか確かめたりすることはありません。母乳はすでに完璧な温度で調合済みです。母乳での授乳という行為じたいが、母と子のきずなの形成にとっても大切です。にもかかわらず、英国における母乳授乳率はヨーロッパの最下位グループに入ります。英国の赤ちゃんのわずか69%しか出生時に母乳を飲んでいません。そしてこの数字も1週間後には急速に55%に落ち込んでいきます(Hamlyn et al., 2002)。


 


出産入院の期間に粉ミルクを使った母親ほど、退院後に母乳授乳を放棄する傾向が見て取れます。入院中に哺乳ビンで粉ミルク授乳を経験した新生児の母親の40%は、入院中みずから母乳授乳をしていても、2週間以内に母乳授乳をやめてしまい、粉ミルクに切り替えず母乳で通した母親はわずか13%でした(Hamlyn et al., 2002)。残念なことに、生後6カ月の段階で、英国の赤ちゃんのうち母乳を飲んでいるのは5人のうちたった1人です。生後6カ月は母乳だけを!と、WHO、ユニセフ、英国政府がそろって勧告しているにもかかわらず、このありさまです。


 


粉ミルク


一部の母親は母乳授乳ができず、もしくはそうしないことを選択し、その場合は粉ミルクが使われます。粉ミルクは乳児の栄養要件を満たすように配合され、粉ミルクの栄養組成を規定した英国とECの厳しい法律を遵守する必要があります。


豆乳製の粉ミルクが大多数の乳児にとっての1つの安全な選択肢を提供しています。これは乳児の栄養要件のすべてを満たし、しかも牛乳の粉ミルクの消費につきまとう有害な影響が一切ありません。いかなる状況下であっても、通常の牛乳、ヤギのミルク、豆乳、そしてその他の乳児用に特別に配合されたミルクも12カ月未満の子供に与えてはなりません(豆乳の安全性に関するレビュー 63ページの付録を参照)。


 


学校における牛乳


1924年、英国地方教育庁(LEAs)は、英国の子供たちに牛乳を無償で提供することを許可しました。これは学齢児童に牛乳を導入する動きの始まりで、これは今日まで続いています。経済史レビュー誌に発表されたダラム大学のピーター・アトキンズ博士の最近の論文は、20世紀前半において学校に牛乳が導入された背後の動機を考察しています(Atkins, 2005)。アトキンズ氏によれば、当時にあって牛乳の栄養学的恩恵は論争中であり、他の食べ物にとって代わるような地域ではおそらく栄養学的にマイナスであった。しかし、牛乳産業は不景気の時代にみごと新市場を創出しおおせたと指摘しています(Atkins, 2005)。


 


1946年、学校牛乳法によってすべての学童たちに無償で牛乳が無償で提供されることになりました。1/3パイント(約190ml)の牛乳が18歳未満のすべての子供たちに無償で提供されましたが、1968年になってハロルド・ウィルソン政権は公立中等学校での牛乳無償提供を廃止しました。この政策は1971年まで続き、同年当時英国教育大臣であったマーガレット・サッチャーが今度は牛乳無償提供の対象年齢を7歳に切り下げました。これは経済的な決定であって、牛乳の価値の栄養学的評価に基づいたものではありませんでした。これによって彼女はニックネームを得ました「サッチャー、サッチャー、ミルク・スナッチャー (snatcher:ひったくる人)」もっとも当時の子供たちの多くはもう学校で温かくて臭くて気持ちの悪い牛乳を飲まなくてよくなって喜びました。


 


1977年、欧州連合(EU)によって、学校での牛乳消費を促進するために学校牛乳制度が導入されました。


この制度は加盟国が補助金を得た牛乳を、希望する小学校と幼稚園に提供することを要件としていました。しかし学校の牛乳無償提供への加入に関しては、当の学校もしくは英国地方教育庁の判断次第でした。欧州委員会(欧州連合の執行機関の1つ)は、この制度に経済的メリットがないので、


もともと補助金制度を廃止したい意向でした。英国はこうした結論を受け容れず、この制度の存続のために懸命に戦いました。そして、2001年、補助金の補助率を95%から75%に下げることで妥協案が成立しました。英国政府は英国での補助金の補助率を元の95%のまま維持し、毎年最大で150万ポンドを支出しています。学校年度2003年から2004年の1年間に英国のおよそ100万人の児童が3,490リットルの補助を受けた牛乳を7百万ポンドの費用で飲んだことになります(Defra, 2005a)。


 


やがて学校での牛乳消費増加の動きに弾みがついてきました。1998年に“女性の食品と農業連合”によって設立された“学校牛乳プロジェクト” (TSMP)は、小学校での牛乳摂取の増加を目的としたものです。このプロジェクトは“牛乳発展評議会”Milk Development Council (MDC)の財政支援を受けていますが、この協会は1994年の牛乳産業の再編に続いて設立されています。“牛乳発展評議会”は大英帝国の牧場で販売されるすべての牛乳に課される徴収金によって資金提供を受けています。徴収金からの年収は7百万ポンドを超えます(MDC, 2005)。この“牛乳発展評議会”は何よりもまず牛乳生産の方法の研究と発展のために資金提供をしています。また、“学校牛乳プロジェクト”にも資金提供をして、英国地方教育庁や学校や乳製品販売者との直接のコンタクトを通じて学校における牛乳消費を促進しています。


 


 


慈善団体“学校に牛乳を”は 1994年に設立されました。学校における栄養の分野において国民を教育する目的で設立、“国連食糧農業組織 (UNFAO) 学校牛乳ネットワーク”の登録メンバーです。この長たらしい名前の組織は、2000 年 9 月 27 日に最初の“世界学校牛乳デー”を立ち上げました。2004年10月、“乳業UK” (Dairy UK) 設立。この団体は牛乳・乳製品の加工・販売業者と牛乳製造協同組合とのクロス業界団体として設立されました。2005年、小学校での牛乳消費の促進を目的に、EUと“乳業UK”は“牛乳発展評議会”と協力体制を確立しました。「健康とフィットネスのための教師の指針」と2005年10月10日の学校牛乳週間によって学校がターゲットにされました。この学校牛乳週間によって、新たに6千人の学校牛乳ドリンカーを獲得され、“乳業UK”の表現を使えば、“年間100万回以上の新たな牛乳消費場面”を創出しました(Dairy UK, 2005)。


 


こうした流れの背後には間違いなく非常に巧妙なマーケティング戦略があり、実際、牛乳消費の30年にわたる右肩下がりに歯止めがかかる可能性があります。“牛乳発展評議会”の市場開発部長、リズ・ブロードベント氏は、この成長(英国の酪農業者にとって400万ポンド相当)は過去30年で最初の手堅くかつ持続可能に思える上昇であると指摘しました。追加分の牛乳はポリッジ(燕麦粥)、紅茶、コーヒーに使用されているという調査があります。この30年ぶりの上昇が市場における特定の商品の販売促進の成功に起因することを示唆する証拠があります。牛乳産業が最近、一般的な促進(ただ漫然と「もっと牛乳を飲みましょう」というような)は放棄して、かわりに特定の商品を特定の層に絞り込んでいくアプローチにシフトしていることが背景にあり、だからこそ“牛乳発展評議会”の最新のキャンペーンはとりわけ10代の少女たちをターゲットにしています。しかし、一方で国民の富裕層では牛乳をあまり飲まないひとが増加傾向にあり、その中には学校で無償牛乳をもらわなかった未婚の専門職や若い両親たちが含まれるという調査結果もあります。


 


このグループ、つまり牛乳を飲む習慣を次世代に伝承しない人口は国民の約半分に相当するが、牛乳の総量の4分の1を消費するに過ぎないと、“牛乳発展評議会”は指摘します。“牛乳発展評議会”は複数の特定のグループにターゲットを絞り込みますが、それは新規の消費者を掘り起こすためで、この新参者が次の世代である子供たちも引き込んでくれることを期待してのことです。“牛乳発展評議会”の市場開発部長、リズ・ブロードベント氏は、便利、革新、習慣の3つがカギであると言明します。こうした新しい苗となるグループに関しては、コストは度外視して彼らの好みにあったかたちの乳製品を提供していくのだと言います。同氏がもう一つのルートとして示唆しているのは学校牛乳プログラムで、これによって人生の早期のうちに牛乳を飲む習慣をあらためて植え付けるのだと言います。


 


 “牛乳発展評議会”の学校牛乳プロジェクトと学校ミルクバー構想は50万人の新たな牛乳ドリンカーを創出し、2千万リットルの牛乳を消費させました。しかし、牛乳産業にとって、こうした成功の価値は、現在と未来の家庭における日々の家庭消費のために、存在するのが当たり前の商品として牛乳を復権させることにあります。


 


学校牛乳の導入という政策は次のような問いを呼び起こさずにはいません。いったい牛乳産業は私たちの子供を養っているのですか?それとも単に未来の忠実な顧客層を養っているのですか?


 


 「牛乳の真実」  原題“White Liies” 3  に続く


 

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