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「白いウソ-- 牛乳の真実」 原題“White Lies” 3

「白いウソー 牛乳の真実」  原題“White Lies” 3


 


第二部: 乳製品の消費と健康


 


牛乳の消費は広範な種類の健康上の問題、病気、疾患につながる可能性があるという示唆は多くの人々にとって寝耳に水のことでしょう。こんな自然な食物がどうして不健康なものでありえましょうか。これに対する答えはその質問じたいに隠されています。ミルク一般は大人にとって自然な飲料ではありません。さらに、牛のミルク(牛乳)は人間にとって自然な飲料ではありません。自然界ではミルクは乳離れの時まで母親から摂取されます。そして乳離れ後は母親のミルクの分泌は止まります。妊娠している母親からのミルクを消費することは、物事の順序からして正常なことではありません。さらに自然界では哺乳類は自分と同じ動物種のミルクを摂取するのであって、他の動物種からということはありません。米国皮膚科学研究誌に発表された論評において、ニューハンプシャーの皮膚科医F.W.ダンビー博士は次のように指摘しています。人間が他の動物種のミルクを大量に消費するのは、それも特に妊娠している雌牛からのミルクを、しかもその人間がとうに乳離れした後になっても消費しているというのは本質的に不自然である(Danby, 2005)。


 


前述したように、牛のミルクは小さな仔牛が1年足らずで大きな牛に成長するように配合されています。牛のミルクの成分構成は、仔牛のこの急速な身体的成長を維持するために、必要とされる特定の種類の栄養素を、それぞれ必要な特定のレベルで含有するように進化してきました。これらは人間にとって必ずしも自然でもなければ健康的でもないのです。たとえば、全乳(脱脂していない牛乳)やバター、チーズなどの特定の乳製品は多量の飽和脂肪、コレステロールおよび動物タンパク質が含まれ、それらが健康に対して有害な影響のあることは、豊富な資料によって立証されています。さらに言えば、牛のミルク中のビタミンやミネラルの含有比は人間の必要摂取量、特に人間の幼児に適していません。仔牛の急速な骨格成長に対応するために、牛のミルクには人間のミルク(母乳)の4倍の量のカルシウムが含まれています。これは牛の牛乳は人間の乳児のカルシウムの源泉として優れているという意味ではありません。それどころか、カルシウムのこのレベルは、牛乳中の他のミネラルの高いレベルとともに高腎溶質負荷をひき起こします。つまり、人間のまだ幼い乳児の腎臓には市販の牛乳を処理することは決してできないのです。


 


牛乳栄養組成が人間の乳児には不適合である事実以外にも、牛乳がどうして人間にとって“自然な”食物でないかという多くの理由があります。たとえば、牛乳中の生物的活性分子(ホルモンと成長因子)がさまざまな疾患につながる証拠が山ほど積み上がってきています。牛乳産業は私たちに牛乳が食事に不可欠の要素であると信じ込ませようとしていますが、そういった主張の根拠となる研究や調査の多くはまさにその牛乳産業から資金が出ています。そもそも世界の約70パーセントの人々が牛乳を飲んでいないとすると、牛乳はいったいどれだけ“不可欠”なものなのでしょうか。牛乳を消費することと関連付けられている病気や疾患のリストは広範なものです。こうした健康問題の発生は、特定の地域や国でどれだけ牛乳が飲まれているかというその程度に直接関係してきます。以前に牛乳が飲まれていなかった地域で牛乳消費が広がると、そうした疾患が発生し始めるのです。これらの問題のいくつかは後ほど詳述します。


 


ニキビ


ニキビは、十代の若者の多くに影響する皮膚の状態ですが、成人であっても少数の症例ですが起こることがあります。成人期に起こることがあります。11歳から30歳の人々のうち約80%はある程度のニキビを経験することでしょう(NHS Direct, 2005)。ニキビは時には深刻な問題になることがあります。ニキビに悩む人々の中には、いじめや自信喪失から自殺まで考えてしまうような苦悶を訴えるケースがあります。


 


ニキビは、複数の要因の組み合わせによって発生します。ホルモンの変化は、毛包に隣接して頻繁に配置されている皮膚の皮脂腺から皮脂と呼ばれる油性物質の分泌を高めることがあります。皮膚細胞が生成して毛包の開口部を塞ぐと、その皮脂腺の目詰まりがニキビの成長につながることがあります。


この問題をしばしばさらに悪化させるのは、細菌のプロピオニバクテリウムアクネスで、このバクテリアは皮膚に入植して毛包に滞留します。次に炎症が起こり、ニキビ特有の大きな膿で満たされた壺の噴火に至ることがあります。ニキビは、顔、上腕、背中と胸の上部で発生する傾向があります。


 


一般的に医師は、食事とニキビ発生との間の因果関係の可能性を一蹴する傾向があります。しかし、現在大量の科学的証拠がそのような因果関係を支持しています。最近、米国の研究誌「皮膚医学および外科セミナー」で発表された論文では、食事が(直接であれ関節であれ)ニキビの主な原因に結びつくとされています(Cordain,2005)。さらに、47人のニキビ患者についての研究が食事とニキビとの因果関係を立証しています。その調査結果は、ニキビの成長の背後には、精白穀物、砂糖、ポテト、加工食品、牛乳、ヨーグルト、アイスクリームと、オメガ6-3脂肪酸比率の高い食事が潜んでいると示唆しています。この介入食事療法テストにおいて、すべての乳製品、ほとんどすべての加工食品、精白穀物、砂糖が食事から排除され、替わりに赤身の肉、魚、新鮮な果物と野菜からなる食事が与えられました。この食事療法に従った被験者たちはニキビの症状の即時の改善を見せ、最終的には完全にニキビが消失しました。この1年がかりの実験の結果は来年一連の論文として発表されます(Cordain, 2005a)。


 


十代のニキビが乳製品の消費と直接結びついているとする報告が2005年に「米国皮膚科学会誌」に発表されました(Adebamowo, 2005)。47,355人の女性を対象にした高校時代の食事と十代のニキビについてのアンケート調査の結果、思春期における牛乳の摂取とニキビ(医師の診断あり)の発生との結びつきが明らかになりました。十代のニキビと牛乳消費との関連は脱脂牛乳において最も強いため、牛乳成分中の飽和脂肪が原因ではないと思われます。同報告の著者らは、牛乳中のホルモン成分が十代のニキビをひき起こしている可能性があるという仮説を立てています。牛のミルクはエストロゲンとプロゲストロンというホルモンを含みますが、これらとともに複数のホルモン前駆体((アンドロステンジオン、デヒデロ硫酸エピアンドロステロン、5ª-削減ステロイド様 5ª-アンドロスタンジオン、5ª-プレグナンジオン、ジヒドロテストステロン)も含まれ、このうちの一部がニキビの発生に関与していると見られています。これらのホルモンの濃度レベルは乳牛が妊娠しているか否かに依存します。そして妊娠している場合でも、妊娠のどの段階であるかに依存します。少なくとも英国の牛乳の3分の2は妊娠している牛から搾乳されています(Danby, 2005)。


 


牛乳にはまた、皮脂腺と毛包に作用する生物的活性分子も含まれています。具体的には、グルココルチコイド、IGF-1、形質転換成長因子β (TGF-β)、中立的甲状腺刺激ホルモン様ペプチド、アヘン様化合物などがありますが、これらの一部はパスチャライゼーション(加熱処理)によっても活性を失いません。これらの関与因子の生物活性は加熱処理によって変容する可能性があります。換言すると、加熱によって引き起こされる分子の形状や構造の変化は、人体内でのその分子の振舞いを変容させる可能性があります。さらに知見を重ねるまでは、こうした生物活性分子がニキビやその他の健康問題の発生にどういった役割を果たしているかについて語ることは時期尚早です。


 


 


アレルギー


体の免疫システムは、多くのさまざまな異質な分子を不断に区別しています。あるものは有害物質かもしれず、また別のものは食物の無害な成分でしょう。アレルギーは、アレルゲンと呼ばれるそうした物質(ホコリ、花粉、食物成分など)に対する不適切な免疫反応が原因です。アレルギー反応は、体が健康に対する脅威と感知したそういった異質の“侵入者”に対して攻撃を開始しようとするときに発生します。こうした攻撃において、体はヒスタミンと呼ばれる物質を放出させ、これによって小血管の浸透性を拡大し、上昇させます。これは結果として局部的炎症、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの一連の症状をひき起こします。これらのタイプの反応は、いわゆる古典的なアレルギーに発展します。具体的には、喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、蕁麻疹 (皮膚の発疹)です。これらの反応はアナフィラキシー反応と呼ばれ、その症状の程度には大きな幅があります。この反応の最も症状の重い場合は、呼吸困難、血圧低下、そして最悪の場合は心不全と死亡に至ります。


 


アレルギー反応に先だってアレルゲンへの初期感作があり、アレルゲンへのこの最初の露出では何の症状も知覚されないことがあります。実際には初期感作は、あるアレルゲンへの直接の露出によってではなく授乳の際の母乳中の食物性アレルゲンへの露出で起きている可能性があります。このプロセスはアトピー性感作と呼ばれますが、これは母乳中に食物性アレルゲンを含む母親が授乳した乳児にのみ起こる可能性を示唆する証拠があります。たとえば、フィンランドの研究報告によれば、授乳中の母親の食事中の飽和脂肪酸が豊富なことが、新生児の後のアレルギーの発達の隠れたリスク因子となる可能性があります(Hoppu et al., 2000)。つい最近、同じ研究グループが、飽和脂肪酸が豊富でかつオメガ3脂肪酸が少ない母乳が新生児のアトピー性皮膚炎につながるリスク因子である可能性があることを報告しています。現在無数の研究によって粉ミルクでなく、母乳がアレルギーの発生を防ぐことを示す可能性が明らかになって、大多数の研究は母乳を強く支持しています。しかし、事態はもっと複雑です。母乳による授乳中は、母親は食事において疑わしいアレルゲンを避けるのが賢明かもしれません。特に喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症のひとが家族にいる場合はなおさらです。


 


アレルギーは、現在英国であまりに蔓延しており、ほぼ3人に1人の割合です。一部の研究者は、この発生率は上昇傾向にあり、もはや疫病であると指摘しています(Royal College of Physicians, 2003)。


 


食物アレルギーはますます広がり、その中でも最も一般的なものが牛乳アレルギーで、1歳未満のすべての新生児の約2パーセントを襲います。症状としては、鼻水と内耳閉塞につながる粘液過剰分泌があります。より深刻な症状としては、喘息、アトピー性皮膚炎、疝痛(夜泣き)、下痢、嘔吐などがあります。


 


喘息


喘息は、再発性呼吸困難によって特徴づけられる慢性的炎症性肺疾患です。


喘息は英国ではおよそ8人に1人の子供に、そして13人に1人の大人に見られる一般的な症状です(NHS Direct, 2005)。喘息児の数は過去10年間急上昇しています。1970年代には喘息児は50人にわずか1人でした。喘息の発作中に気道の粘膜が炎症を起こし、気道狭窄を起こし喘息に特徴的な咳、喘鳴、呼吸困難や胸の圧迫感といった症状を引き起こすことになります。喘息はどの年齢層からでも始まる可能性があり、その原因としては、複数の要因の組み合わせが含まれると考えられています。具体的には、遺伝的要因 (家族に喘息患者がいる)、食事、そしてタバコの煙、化学物質、イエダニといった環境的トリガー(誘発因子)が挙げられます。


 


前述のように、アレルギーには家族内の遺伝的側面があります。ですので、家族内に喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症のひとが何人かいれば、他の家族が同じか別のアレルギーを発生させるリスク因子は増加する可能性があることになります。しかし、遺伝的素因が唯一の原因ではありません。


 


過去に、小児喘息の上昇は大気汚染の増大にその原因が求められました。しかしながら、この説明に妥当性があるように思えません。なぜならば、中国のような、世界で最も汚染された国々では喘息の発生率は低いままで、ニュージーランドのような非常に空気のきれいな国々で喘息の発生率が高いからです(ISAAC, 1998)。喘息増加の原因として、今や“衛生仮説”が人気を博しています。この仮説は喘息の高い増加率の元凶を、多くの家庭に見られる極端なレベルの清潔さにあるとします。衛生状態が向上するということは、私たちの免疫システムの出番がだんだん少なくなることを意味します。そして、このために私たちの体がイエダニのようなアレルゲンに過剰反応するのだということが言われてきました。


 


喘息のすべてのケースのうち、およそ5パーセントは食物アレルギーが原因であると推定されてきました(James et al.,1994)。そして、牛乳は食物アレルギーの主要な原因ですから、喘息の治療においては、牛乳アレルギーの可能性を考慮することが役立つかもしれません。


 


湿疹


牛乳アレルギーは、喘息やアトピー性皮膚炎を含む多くのアレルギー症状のリスク因子です(Saarinen, 2005)。アトピー性皮膚炎の発達における食品の役割についてますます多くの関心が寄せられています。過去10年にわたって、特定の食物とアトピー性皮膚炎との関係について理解が深まってきました。喘息はイエダニ、草と花粉、ストレス、特定の食物といったいくつかの環境要因によって誘発される可能性があります。喘息児の約30パーセントにおいて、食物が誘発因子の可能性があると考えられています。それをさらに絞り込んだ約10パーセントでは、食物が主たる誘発因子の可能性があると考えられています(National Eczema Society, 2003)。喘息に関連づけられるもっとも一般的な食物は牛乳と卵で、その他の食物としては、大豆、小麦、魚、ナッツ類があります(National Eczema Society, 2003)。


 


 


花粉症


花粉症 (季節的なアレルギー鼻炎) は草または干し草の花粉に対するアレルギー反応です。少数のケースでは、それ以降の開花の雑草や真菌の胞子によって誘発されることもあり、大気汚染が症状を悪化させることがあると示唆する研究もあります。花粉への暴露に反応して、免疫システムはヒスタミンを放出しますが、これによって鼻水、くしゃみ、目や喉のかゆみといった一連の症状が生じます。すでに述べたように、特に家族がアレルギー(特に喘息やアトピー性皮膚炎)の家系であれば、あなたが花粉症になる公算はより大きくなります。喘息やアレルギー鼻炎の場合、一部の人々は食事を変えることによって改善することがあるという証拠があります(Ogle and Bullock, 1980)。しかしながら、花粉症の症状に対する食事の影響はまだよく研究されていません。


 


消化管出血


すでに述べたように、アレルギー反応としての牛乳誘発性消化管出血は、乳児期の直腸出血のよく認められた原因です(Willetts et al., 1999)。消化管出血の主な原因の一つは食物性タンパク質アレルギーで、これの最も一般的な原因は、牛乳のタンパク質(カゼイン)です。牛乳アレルギーからくる消化管出血の発生はしばしば非常に少量であるために血液損失が視覚的に検出されません。しかし、こうした失血が長期間にわたると、子供に鉄欠乏症貧血をひき起こす可能性があります。乳児52人対象の1回の検査において、うち31人が母乳で、21人が粉ミルクで生後168日まで授乳しました。そうしてから粉ミルクでなく牛乳を導入したところ、消化管からの血液損失が増加し、鉄分の栄養的に重大な損失をもたらしました(Ziegler et al., 1990)。ジョンズ・ホプキンス医科大学の小児科部長のフランク・オスキ氏は、アメリカの乳児の鉄欠乏症の半数は牛乳誘発性の腸管出血であると推定しています(Oski, 1996)。


これは驚異的な数字を表します。というのは、米国の2歳未満の乳児の15パーセント以上が、鉄欠乏性貧血に苦しんでいるからです。牛乳アレルギーの信頼できる唯一の治療は、すべての牛乳や乳製品、つまりチーズ、ヨーグルト、バター、クリームなどを避けることです。さらに隠れた乳成分を含む製品も避けるべきで、こうした成分にはスキムミルクもしくは脱脂粉乳、乳固形分、無脂乳固形分、乳糖、ホエイ(乳清)およびカゼインがあります。中でもカゼインを避けることは困難です。というのは、カゼインは、パン、シリアル、インスタントスープ、マーガリン、サラダドレッシング、菓子類、ケーキミックスなどの製造に広く使用されているからです。牛乳の代替品としては、カルシウム強化大豆、米、オート麦ミルクを使用することができます。 (その他、牛乳に関連する胃腸障害は乳糖不耐、52ページを参照)


 


関節炎


関節炎の最も一般的な形態は変形性関節症です。これは関節軟骨の再生のペースが分解のスピードに追いつかず、関節軟骨が徐々に薄くなっていく変性疾患です。


 


最終的には骨の関節面が直接に接触するようになり、骨が劣化し始めます。この症状は高齢者層に起こる傾向があり、英国では65歳以上の高齢者の約12パーセントを襲います(NHS Direct, 2005)。変形性関節症は関節の外傷の後に発症することがあります。外傷の数ヵ月後、場合によっては数年後のこともあります。発症する関節は、多い順から、手、膝、足、腰、脊椎です。


 


次に一般的なタイプの関節炎は、リウマチ性関節炎です。これは関節の慢性炎症性疾患です。このタイプの関節炎は英国の人口の最大3パーセントを襲い、30歳から50歳の人々の間に起こる傾向があります。女性は男性よりも3倍この症状を発症しやすいです(NHS Direct, 2005)。関節リウマチは、関節部分の痛みを伴う火照った腫れによって特徴付けられる慢性的症状です。多くの疾患において、炎症は治癒に向けて役立つことがありますが、リウマチ性関節炎の場合は損傷をひき起こす傾向があります。一部の人々にとって、その痛みや不快感は彼らの生活において深刻な打撃を与えます。リウマチ性関節炎は、免疫システムがその障害のために、体に自らの組織を攻撃させてしまうことによって起こる自己免疫疾患の一つと考えられます。この疾患は通常、手首、手、足から発症しますが、身体の他の関節に広がることがあります。


 


 


関節炎の他の形態には、強直性脊椎炎、頸部脊椎炎、線維筋痛、ループス、痛風、乾癬性関節炎およびライター症候群が含まれます(NHS Direct, 2005)。関節炎が子供に発症することもありますが、若年性関節炎の原因はよくわかっていません。遺伝的要因やウイルス感染に起因する可能性も示唆されています(NHS Direct, 2005)。最近まで食事と関節炎との結びつきについてはほとんど科学的研究がなされていませんでしたが、最近の研究は食事が関節炎の発達に関与している可能性を示唆しています。健康的なバランスの取れた食事を維持することは関節炎の人々にとって重要です。“関節炎ケア” (英国の関節炎の人々のためのボランティア組織)の提唱によれば、果物、野菜、パスタ、魚、白身の肉、赤身の肉などの低脂肪の食品、クリームとチーズが役立ちます(Arthritis Care, 2004)。たしかに、砂糖と飽和脂肪を減らし、より多くの複合炭水化物、繊維、ビタミンとミネラルを食べることは大部分の人にとって恩恵をもたらす可能性があります。


 


関節炎に苦しむひとは、自分の食事がカルシウムや鉄などのミネラルを含むすべての重要な栄養素を提供することを確保することによってできるだけ健康を維持することが重要です。乳製品をリストから外すと、自分のカルシウム摂取量がガタ落ちになるのではないかと懸念する人々がいます。ボランティア組織“関節炎ケア”は、乳製品が好きでない人や食べられない人の場合は、非乳製品源から十分なカルシウムを摂取するように提唱しています(Arthritis Care, 2004a)。同組織はパン、緑の葉野菜、焼きたての豆などを含む、カルシウムの非乳製品源をいくつかリストとして提示しています(also see page 59)。同組織はさらに、関節炎の人々は動物性タンパク質と塩分とカフェインの摂り過ぎに対して注意するよう警告しています。それは、これらの過剰摂取が、カルシウムを吸収して保持する体の能力を低減させる可能性があるからです(Arthritis Care, 2004a)。


 


鉄分について憂慮するひともいます。特に最近赤身の肉を食べることを止めた人々です。鉄欠乏症はベジタリアンの不安材料にはなりません。また、たとえビーガンであっても肉食の人以上に鉄欠乏症になることはありません。実際のところ、世界でもっとも広範なベジタリアンとビーガンについての研究(the EPIC Oxford cohort study)では、対象となったのは、33,883人の肉食者、18,840人のベジタリアン、2,596人のビーガンでしたが、鉄分の摂取量のいちばん多かったのはビーガンでした。その次がベジタリアンで、最下位が肉食者でした(Davey et al., 2003)。強調されなければならない点は、牛乳と乳製品は鉄分の栄養源としては極めて貧弱なものであることです。いっぽう、豆、ドライフルーツ、濃い色の葉野菜は鉄分のすぐれた栄養源です。


 


 “関節炎研究キャンペーン” (ARC)は1936年に設立された、関節炎の原因、手当て、治療についての医学研究を促進する目的の募金団体です。同団体は関節炎に悩む人々のための食事ガイドラインを作成していますし、食事と関節炎とのあいだの最も重要なつながりの1つは太り過ぎであると示唆しています。余分な負荷が関節にかかることが症状をかなり悪化させる可能性があります。減量が、関節炎の症状の改善に劇的な効果をもたらす可能性があります。減量するためには食事で摂取する以上のエネルギーを使用する必要があります。ベジタリアンとビーガンは肉食のひとよりも体重が軽いという調査があります。また同団体は、ラクト・ベジタリアンの食事はリューマチ性関節炎の一部の人々のためになるかもしれないと示唆しています。さらにまた同団体はビーガンの食事もプラスになるかもしれないと言明しています(ARC, 2002)。砂糖の量を減らすことと、定期的 な(たとえわずかの)運動をすることは、体重減に同様に役立ちます。


 


 


飽和脂肪は、脂肪削減において筆頭にくる重要な脂肪です。そもそも体は飽和脂肪を必要としませんし、関節炎を悪化させる可能性もあります。いっぽう必須脂肪酸(EFAs)は、関節炎の炎症を抑えるのに役立つ物質を体が生産するのに利用され、その意味で一部の関節炎の人々のために役立つということが明らかになっています。


 


減量を始めるにあたっては、ビタミンとミネラルの十分な摂取を維持することが重要です。これは果物と野菜をたくさん消費することを意味します。果物と野菜、豆と未精白炭水化物食品(全粒パン、玄米、全粒パスタ)をたくさん取り込んだ健康的なバランスのとれた食事は、ビタミンとミネラル(と繊維)の十分な供給となります。


 


果物や野菜が欠けていて、炭水化物の加工品(白いパン、白米、白いパスタ)を含んだ食事はこのような必須栄養素の十分な供給とはなりません。こうした食事は健康にとって有害になる可能性があります。ARC“関節炎研究キャンペーン”はこれについて、良い食事というものは、たとえ関節炎の治療に強い薬が投与されているときであっても、役に立つことができると言明しています(ARC, 2002)。


 


食物アレルギーと関節炎は、かなり論議を呼ぶテーマです。しかし、一部の人々の場合、リウマチ性関節炎は乳製品と食品着色料を含むある種の食品によって悪化することがあることを示すという調査があります(ARC, 2002)。もし自分はこの食品に対してアレルギーがあるのではないかと思ったら、ARCの推奨するように、まず自分の食事からその食品を一ヶ月間排除します。それから、違いがあるかどうか見るために再度導入してみてください。2001年のスウェーデンの研究者たちによる報告によれば、22人のリューマチ性関節炎の患者のうち9人が、グルテンを排除したビーガンの食事を摂取した後に大幅な改善を示し、対照群では25人中1人でした(Hafstrom et al., 2001)。この調査ではすべての動物性食品とグルテンが排除されていますから、患者の改善の理由が牛乳の排除であったかどうかまでは当然わかりません。しかしながら、この調査は食事の修正が関節炎の患者に恩恵をもたらす可能性があることを強く示す証拠となるでしょう。


 


牛成長ホルモン(BGH)注:原文ではBSTであるが、同じものを指す、より一般的な用語BGHに変えた)


牛のミルク生産は、一連のホルモンの複雑な相互作用の影響を受けます。BGHは牛の体内で発生して生成されるミルクの量を制御する自然な成長ホルモンです。1994年にモンサントは組み換えBGH(rBGH)として知られるBGHの合成バージョンの販売を開始し、これはポジラックという商品名で売られました。乳牛にこのrBGH(牛用成長ホルモン剤)を注射すると、牛乳生産が最大15%アップするように代謝が変容します。1994年の市場導入以来、ポジラックは米国における酪農動物医薬品のベストセラーになっています。全50州で販売され、rBGHは米国の900万頭の乳牛のおよそ3分の1に対して投与されています(Monsanto, 2005)。


 


米国食品医薬品局 (FDA)はrBGHの使用を認可していますが、この使用は乳牛の深刻な健康問題、たとえば、跛行(立ったり歩けなくなる)と乳房炎の発生に関連づけられています。こうした動物の健康と福祉の理由から、rBGHの使用は欧州連合(EU)では2000年に禁止されました。カナダ、日本、そしてその他の多くの国々においても動物の健康と福祉の理由から、rBGHの使用は禁止されています。しかしながら、rBGH使用の乳製品の輸入に対する規制も、その使用の表示義務も一切ありません。


 


英国政府の動物用医薬品部門は、輸入牛乳の検査はまったく実施していません(Defra, 2006)。さらに、Defra(英国環境・食糧・農村地域省)は、VVFとの交信において、EU は単一市場であるため、ある製品がいったん入り、それが同じEUの別の国に輸送される場合、その製品の生産国はEU内のその輸送元の国になり、本来の産出国ではなくなります(Defra, 2006)。2005年に英国は千トンを超える乳製品(主にアイスクリーム)を米国から輸入しました(Defra, 2006a)。この輸入量は2001、2002年両年に下がりましたが、依然として懸念が残ります。というのは、消費者にとっては米国からの輸入品を吟味・選別する余地は限られているからです。


 


rBGH(牛用成長ホルモン剤)の使用に関連するいくつかの健康問題をめぐって懸念が示されています。rBGH投与の乳牛の間での跛行と乳房炎の発生率の増加は、必然的にこれらと他の感染症の治療のための抗生物質の使用の増加につながります。米国で製造される抗生物質の半分以上が酪農関係で使用されます(Mellon et al.,2001)。抗生物質の使用は、抗生物質への耐性の発生を促進することで知られています。このようにして、こうした薬品の広範な使用は、畜産動物の腸内細菌叢内の耐性菌が高濃度であることの一因となっています(Lipsitch et al.,2002)。これはまた人間における抗生物質耐性菌感染の発展について懸念を抱かせます。2000年のニューイングランド医学ジャーナルの研究報告によれば、サルモネラ菌の抗生物質耐性菌株の出現は家畜に対する抗生物質の使用に関連づけられます。同研究は、腹痛、嘔吐、下痢の症状で入院した12歳の少年から、サルモネラ菌の新種の抗生物質耐性菌株が突きとめられた経緯を記述しています。


 


この少年はネブラスカ州の牧場に住んでいました。その後の調査によって、少年から発見された抗生物質のセフトリアキソンに対して耐性をもつ細菌と同一の菌株が、少年の家の牧場の牛にも存在していることが明らかになりました。さらに、その牧場と近隣の他の牧場では以前にサルモネラ症の大発生が起きていました。その時に家畜に対して使われていた抗生物質がセフトリアキソンでした。この証拠は、少年が消化管感染症を家畜経由で罹患したことを示唆します(Fey et al., 2000)。ここでの明白な懸念は、抗生物質の家畜に対する一般的使用は、抗生物質耐性菌株の増加につながり、それがさらに人間に感染する可能性があるのではないかという点です。これは公衆衛生にかかわる問題として問いを立てる必要があります。「畜産動物に対する抗生物質の使用をさらに制限するためには、いったいどれだけの被害証拠を積み上げる必要があるのでしょうか」


 


成長ホルモン剤(rBGH)を投与された牛の牛乳生産量は増加します。そのメカニズムは、まず投与された成長ホルモン剤が牛の体内に自然に生成されるインシュリン様成長因子1 (IGF-1)の生産を促進させます。そして今度はこの成長因子が牛の乳房の腺を刺激し、ミルクをより多く生産させます。乳牛への成長ホルモン剤(rBGH)の使用は、実質的にはその牛乳中のインシュリン様成長因子1 (IGF-1)のレベルを増加させる可能性があります(Prosser et al., 1989)。牛乳中のIGF-1が人体内で吸収された場合のその潜在的な生物学的振舞いについて懸念が持ち上がっています。その理由は、牛由来のIGF-1は人間のIGF-1と同一だからです。サミュエル・エプスタイン教授はがんの原因と予防についての国際的な指導的権威ですが、次のように警告しています。


ますます収斂してくる告発証拠の矢の束が、乳がんと前立腺がんの両方に関わる潜在的なリスク因子としてrBGH牛乳中のIGF-1を指し示している(Epstein, 1996)。


 


成長ホルモン剤(rBGH)の使用は英国では許可されていないのだから、そんなに心配することはないのでは?という声があるかもしれません。しかし、人間の健康面での懸念としては、成長ホルモン剤(rBGH)の使用を許可している国から輸入された牛乳と乳製品が、人間のIGF-1のレベルを押し上げる食品の消費につながる可能性があるのです。1999年に英国国務大臣、ヘイマン男爵夫人は獣医製品委員会 (VPC)の報告書に言及しました。この報告書によると、成長ホルモン剤(rBGH)の使用は牛乳に天然に見出されるBGHのレベルを上げることはない半面、牛乳中のIGF-1のレベルを2倍から5倍に上昇させます。これが大腸がんの発生率に関係していることは同大臣も認めるところです。しかし、同大臣は、人間の健康面へのリスクは極めて小さいものである公算が大であるという獣医製品委員会の見解を繰り返しました。ヘイマン大臣はさらに、英国が輸入している牛乳や乳製品のうち、成長ホルモン剤(rBGH)の使用が認可されている米国から入ってくるのはわずか0.3%であると示唆しました(UK


Parliament, 1999)。 (IGF-1、49 ページを参照)。


 


 「牛乳の真実」  原題“White Liies” 4  に続く


 

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